漆との出会いは、人類にとって極めて重要な出来事であったに違いない。
人類が最初に火を手にした時とまでは言わないが、漆の強力な接着効果や塗料としての類稀なる性質は、人々の“美”への意識をより深いものへと誘った事は確かだ。
その証拠に日本の美術史においても漆は欠かせないものであり、広くはアジア諸国の伝統工芸にも類似した技法が見うけられる。
現在、私たちが使用している化学合成塗料は、漆の固化メカニズムや塗膜強度、そして何よりその美しさをまねする事で進歩してきた経緯があるが、結果的には進歩とは真逆で、塗料成分や乾燥時に出る物質には地球環境はおろか、人体とってはとても有害なモノとなってしまった。
環境問題を考える上でも、漆は原材料から廃棄にいたるまで安全であり、現在のように化石燃料に頼る事なく、天然樹木から採取できることは、環境面から見ても極めて優秀な選択肢なのかもしれない。

今、なぜ漆なのか?

最近では消費傾向にも二極化の波が押し寄せ、高級でこだわりのある商品への需要も高まっています。
東京化成工業株式会社では“漆”という伝統工芸とハイテク技術を調和させることにより、「本物の漆塗り」の技術を利用した合成漆を開発し、当社で生産している機能的なプラスチック外装品への塗装を施します。
今までのアクリルウレタン系の塗料では演出しきれなかった「ピアノブラック」や「漆調」と呼ばれる光沢のある黒色仕上げが高級感のある艶・輝き・奥深さ実現します。
また、漆原料の配合や調色技術によっては発色や仕上げも様々。高級セグメントの企画以外でも、若年層向けのプロダクトや自動車、家電、OA 機器などへの展開も可能です。伝統の中に新しさを、新しさの中にこそ伝統を!私たちからの新しい提案です。
漆の優れた特徴

優れた接着力
他の塗料に比べて接着力が非常に強く、陶器などの接着剤としても使われてきました。その接着力は蒔絵などの伝統的な技にも用いられてきました。

強い表面張力
漆は表面張力が強く、塗装時の伸びが良いのも特徴です。薄く均一な塗膜は研出しにも向いていて、重ね塗りなどにも適しています。

強い塗膜
経年変化に強く、その色は深みを増すと友に、乾固すると高熱や剥がれに対してや、薬品類などにも耐えうる強固な塗膜を形成します。古くは鉄器や銅器の錆錆止め、造船などの工程で活用されてきました。

乾燥過程での特異性
ラッカーゼという酸化酵素の働きによって乾燥する漆は、乾燥時間をコントロールするのも容易です。温度や湿度を調節することで乾燥の調整ができます。


東京化成工業(株)のプラスチック業界においての70年にわたって培ってきた技術を「核」として、会津若松市内の武藤清一漆店、カシュー東北株式会社と連携し、会津の伝統工芸である漆塗りをハイテク機器に施し、7年て商品生産の新たな可能性と他製品との差別化を図ります。
また、福島県ハイテクプラザの漆塗装技術支援を受け、環境にやさしい漆塗装と最新の塗装技術を画期的に融合させる事を目的としています。